以前の投稿で、Apache を CentOS/RedHat にインストールする方法には2つの方法があることを解説しました。 今回は、CentOS/RedHat に Apache 2.4 をソースコードからインストールする方法について解説します。 本稿で解説する操作は全て root 権限で実施します。
1. 事前準備
Apache 2.4 をソースコードからインストールするためには、gcc, make, pcre, pcre-devel のライブラリが必要になります。 また、ソースコードのダウンロードに wget コマンドを説明中で利用しますので、それらをあらかじめインストールしておきます。
# yum install gcc make pcre pcre-devel wget
2. APR と APR-util のインストール
Apache 2.4 をソースコードからインストールする前に APR (Apache Portable Runtime) というものをインストールする必要があります。 APR は OS の違いを吸収してくれるライブラリです。 Linux と一言に言っても様々な種類が存在しますので「この OS には機能があるけど、別の OS には機能が含まれていない」という事があります。 そこで Apache が APR というライブラリを介すことで APR が機能を保管し、どのような環境でも動かすようにしてくれるライブラリです。 以前は Apache に同梱されていたようですが、現在では分離されています。
APR のダウンロードページから tar.gz のソースコードバイナリをダウンロードしインストールします。 本稿執筆時点で APR の最新版は 1.5.1 だったので、本稿では 1.5.1 を利用します。
# cd /usr/local/src
# wget http://ftp.yz.yamagata-u.ac.jp/pub/network/apache//apr/apr-1.5.1.tar.gz
# tar -xvzf apr-1.5.1.tar.gz
# cd apr-1.5.1
# ./configure --prefix=/opt/apr/apr-1.5.1
# make
# make test
# make install
これで APR のインストールは終了です。 APR は /opt/apr/apr-1.5.1 にインストールされました。
次は APR-util をインストールします。APR のダウンロードページから tar.gz のソースコードバイナリをダウンロードしインストールします。 本稿執筆時点で APR-util の最新版は 1.5.3 だったので、本稿では 1.5.3 を利用します。
# cd /usr/local/src
# wget http://ftp.jaist.ac.jp/pub/apache//apr/apr-util-1.5.3.tar.gz
# tar -xvzf apr-util-1.5.3.tar.gz
# cd apr-util-1.5.3
# ./configure --prefix=/opt/apr-util/apr-util-1.5.3 --with-apr=/opt/apr/apr-1.5.1
# make
# make test
# make install
これで APR-util もインストールすることができました。 APR-util は /opt/apr-util/apr-util-1.5.3 にインストールされました。
3. Apache 2.4 のソースコードのダウンロード
Apache 2.4 のソースコードを、公式ホームページのダウンロードページからダウンロードして下さい。 本稿では tar.gz のバイナリをダウンロードします。 本稿執筆時の最新版は 2.4.9 でしたので、ここからは 2.4.9 をインストールする手順を説明します。
# cd /usr/local/src
# wget http://ftp.jaist.ac.jp/pub/apache//httpd/httpd-2.4.9.tar.gz
# tar -xvzf httpd-2.4.9.tar.gz
「なんでさっきからソースは /usr/local/src にダウンロードするの?」と思われた方は、以下の記事などが参考になります。 簡単に言えば、管理者が自分でソフトウェアをソースからインストールする時に、ソースを置く場所を /usr/local/src とする習慣(決まり?)があるからです。
各ディレクトリの役割を知ろう(サブディレクトリ編) (2/2) – @IT
http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/0109/07/news002_2.html
4. コンパイルとインストール
Apache 2.4 をコンパイルしてインストールします。 ここではオプションは最低限の指定のみとします。
# cd /usr/local/src/httpd-2.4.9
# ./configure --prefix=/opt/httpd/httpd-2.4.9 --with-apr=/opt/apr/apr-1.5.1 --with-apr-util=/opt/apr-util/apr-util-1.5.3
# make
# make install
これで Apache 2.4 のインストールが完了しました。 Apache 2.4 は /opt/httpd/httpd-2.4.9 にインストールされます。
5. 起動と停止
ここまでの手順で Apache がインストールできたので、さっそく起動してみましょう。
# /opt/httpd/httpd-2.4.9/bin/apachectl start
ブラウザでインストールしたサーバーへアクセスしてみましょう。 http://yourhost.com/ (※yourhost.com はあなたのホスト名もしくはIPアドレスに置き換えてください。) 下図のような “It works!!” と書かれたページが見えたでしょうか?
もしホームページになかなか接続ができない場合は、ファイアウォールが有効になっている等の原因が考えられます。 iptables や selinux の設定を見なおしてください。
停止は以下のコマンドです。
# /opt/httpd/httpd-2.4.9/bin/apachectl stop
おわりに
Apache 2.4 をソースコードからインストールする手順について説明しました。 もし記事に誤り等がございましたら Twitter 等でお知らせ頂けますと幸いです。
本稿の更新履歴
- 2014年01月04日 – 作成
- 2014年05月05日 – Apache のマイナーバージョンアップに伴い、インストールする APR を 1.5.0 から 1.5.1 に、Apache を 2.4.7 から 2.4.9 に変更しました。 また、インストール先ディレクトリを /usr/local から /opt に変更しました。