本稿では CentOS 6.x に Apache, MySQL, PHP をインストールし、いわゆるLAMP環境を構築する手順について解説します。 CentOS 初心者の方にも分かって頂けるように説明を多く記載しておりますので、手順だけ確認したい方はページ下までスクロールして頂ければと思います。
LAMP環境とは?
LAMP とは、Linux, Apache, MySQL, PHP の頭文字を組み合わせた造語で、Linux サーバ上に WEB サーバに Apache, データベースサーバに MySQL, 開発言語に PHP をインストールした環境のことを「LAMP環境」と言います。 なお最後の「P」については、開発言語に Phython を選択した場合でも LAMP と言われます。
作業の前に
本稿で解説する作業は、全て管理者権限を持つ root ユーザで実行することを前提としています。 また、本稿では Apache, MySQL, PHP のインストールを開始する前に CentOS の初期状態で有効になっているファイアウォールを無効にします。 インストール完了後の動作確認でアクセスできなくなってしまう為です。 次のコマンドで iptables というファイアウォール機能を無効にします。
# service iptables stop
本当にファイアウォールを無効にして良いのかは環境によって状況が違うと思います。 本稿ではファイアウォールの設定までは解説しません。 ファイアウォールを無効にしても大丈夫かは各自で判断をお願いします、システム管理者が別にいる場合は確認した上で作業をするようにしてください。
利用するソフトウェアの決定
本稿では Linux OS として CentOS 6 を利用する事を前提としていますので、ここでは残りの Apache, MySQL, PHP を決定していきます。 CentOS では、ソフトウェアの追加・変更・削除などの管理ツールとして yum が利用されますが、本稿では yum で入手可能な Apache, MySQL, PHP を利用して LAMP 環境を構築していくことにします。
そもそも yum にはリポジトリという考え方があります。 リポジトリはインターネット上のソフトウェアの配布元だと覚えれば良いでしょう。 リポジトリには様々なソフトウェアが保管されており、そこから必要なソフトウェアをダウンロードしてインストールします。 その「ダウンロードしてインストール」を自動的に行ってくれるのが yum コマンドです。
リポジトリ(ソフトウェアの配布元)は、世界に1箇所だけという訳ではなくて誰でもリポジトリを作成できますので、リポジトリの場所(URL)が分かればそこから自由にソフトウェアをダウンロードしてインストールすることができます。 但しどこの誰が公開したのか分からないソフトウェアをインストールするのは不安ですので、信頼のおけるリポジトリからソフトウェアをインストールするのが良いでしょう。 では「信頼のおけるリポジトリ」とは何かと言えば、OS やソフトウェアの作成元が提供している公式リポジトリということになります。
本稿では CentOS が提供している公式リポジトリで配布している Apache, PHP を利用します。 また MySQL は開発元である Oracle 社が公開しているリポジトリを利用してインストールすることとします。
リポジトリ情報を追加する
上記の通り今回利用する yum のリポジトリは「CentOS 標準リポジトリ」と「MySQL 公式リポジトリ」の2つです。 「CentOS 標準リポジトリ」は CentOS をインストールした段階で設定されていますので、残りの「MySQL 公式リポジトリ」の情報を CentOS に教える(インストール)します。
MySQL 公式リポジトリの追加
yum リポジトリの追加は yum install コマンドで行います。 次のようにコマンドを入力することで追加できます。
# yum -y install http://dev.mysql.com/get/mysql-community-release-el6-5.noarch.rpm
ソフトウェアを検索する
ソフトウェア配布元となるリポジトリの情報を CentOS に登録できました。 それではリポジトリに Apache, PHP, MySQL があるかを検索してみます。
Apache の検索
Apache は httpd という名前で検索することができます。 (そもそも Apache とはプロジェクトとしての名前であり、WEB サーバは Apache httpd という名称が正式です) 次のように yum info コマンドで検索することができます。 2015年07月現在、下記のようにバージョン 2.2.15 の Apache httpd が利用できることがわかりました。
# yum info httpd
Available Packages
Name : httpd
Arch : x86_64
Version : 2.2.15
Release : 39.el6.centos
Size : 825 k
Repo : base
Summary : Apache HTTP Server
URL : http://httpd.apache.org/
License : ASL 2.0
Description : The Apache HTTP Server is a powerful, efficient, and extensible
: web server.
MySQL の検索
MySQL は mysql-community-server という名前で検索することができます。 yum info コマンドを使ってパッケージの詳細情報を確認してみましょう。 2015年07月現在、下記のようにバージョン 5.6.25 の MySQL が利用できることがわかりました。
# yum info mysql-community-server
Available Packages
Name : mysql-community-server
Arch : x86_64
Version : 5.6.25
Release : 2.el6
Size : 53 M
Repo : mysql56-community
Summary : A very fast and reliable SQL database server
URL : http://www.mysql.com/
...
PHP の検索
PHP は php という名前で検索することができます。 2015年07月現在、下記のようにバージョン 5.3.3 の Apache httpd が利用できることがわかりました。
# yum info php
Available Packages
Name : php
Arch : x86_64
Version : 5.3.3
Release : 40.el6_6
Size : 1.1 M
Repo : updates
Summary : PHP scripting language for creating dynamic web sites
URL : http://www.php.net/
...
Apache, MySQL, PHP をインストールする
Apache, MySQL, PHP がリポジトリからインストールできることを確認できたら、さっそくインストールします。 yum install コマンドでインストールすることができます。 次のようにインストールするパッケージ名を複数同時に指定してインストールできます。
# yum -y install httpd mysql-community-server php
これで Apache, MySQL, PHP のインストールは完了です。
インストールされたソフトウェアの確認
念のため、それぞれのソフトウェアが正しくインストールできたかを確認しましょう。 それぞれのソフトウェアのコマンドを利用して、インストールされたソフトウェアのバージョンを表示します。 正しくバージョンが表示できれば、ソフトウェアがインストールされています。
Apacheの確認
次のようなコマンドでバージョンを表示します。 次のように結果が表示されればOKです。
# httpd -v
Server version: Apache/2.2.15 (Unix)
Server built: Oct 16 2014 14:48:21
MySQLの確認
次のようなコマンドでバージョンを表示します。 次のように結果が表示されればOKです。
# mysqld --version
mysqld Ver 5.6.25 for Linux on x86_64 (MySQL Community Server (GPL))
PHPの確認
次のようなコマンドでバージョンを表示します。 次のように結果が表示されればOKです。
# php --version
PHP 5.3.3 (cli) (built: Oct 30 2014 20:12:53)
Copyright (c) 1997-2010 The PHP Group
Zend Engine v2.3.0, Copyright (c) 1998-2010 Zend Technologies
起動設定
最後にインストールしたそれぞれのソフトウェアが、再起動時も自動起動するように設定します。 設定には chkconfig コマンドを利用します。 次のようにコマンドを実行することで、自動起動の設定が完了します。
# chkconfig httpd on
# chkconfig mysqld on
なおこの時点でソフトウェアの起動はできていないので、下記のコマンドで起動を行います。 (次回からはマシンの起動と共に自動起動されます)
# service mysqld start
# service httpd start
動作確認
最後に動作確認を行います。 http://インストールしたマシンのIPアドレス/ にアクセスします。 次のような画面が表示されれば Apache が動いている事が確認できます。
注意事項
ここまでで本稿の手順の解説は終了です。 Apache, MySQL, PHP がインストールされました。 しかし、あくまでも初期設定としてインストールが完了できたまでです。 ここからは用途に応じてソフトウェアの設定変更が必要です。 各自、開発するソフトウェアの要件を確認の上、引き続き設定を行ってください。