2019年10月現在、新しいバージョンの Wine 4 がリリースされています。 Wine 4 に対応した記事は「Wine 4 を利用してmacOSでWindowsアプリを動かそう」をご覧ください。
「Windows でしか動かないアプリケーションを macOS でも動かしたい」、そんなわがままを実現してくれるソフトウェア「Wine」について本項では紹介します。
Wine とは?
Wine は macOS, Linux, BSD で Windows アプリケーションを動かすことを目的として開発されているオープンソースのソフトウェアです。 仮想マシン・ソフトウェアなどのようにコンピュータをエミュレートするのではなく、Windows API を変換して動かす方式であるため、処理としては優れています。 完全に Windows API を再現させるのは難しいため、Windows アプリケーションの完全動作を保証するものではありませんが、Wine の最初のリリース版である 1.0 を2008年にリリースして以来、Windowsとの互換性を高めながら2018年にはバージョン 3.0 がリリースされています。 その前の2017年にリリースされたバージョン 2.0 のリリースのアナウンスでは、Microsoft Office 2013 が動くようになったとアナウンスされています。 ご存知の通り Office は Windows アプリケーションの中でもかなり複雑なものですので、Windows API の再現性はかなり高まっていると言えるのではないでしょうか。
Wine 3.0 を macOS に導入する手順
それではさっそく macOS に Wine 3.0 を導入してみましょう。 macOS への Wine の導入は、Wine の公式ホームページのダウンロードページからパッケージをインストールするのが良いでしょう。 なお、Wine 3.0 を動作させるには、あらかじめ XQuatz というソフトウェアのバージョン 2.7.7 以降をインストールする必要がありますので、XQuatz の公式ページからダウンロードしてインストールしておきましょう。
(1) XQuatz をインストールする
XQuatz の公式ページからインストーラをダウンロードしてインストールします。 特に難しい手順は無いので、迷うことなくインストールできるでしょう。
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(2) Wine 3.0 をインストールする
XQuatz のインストールができたら、Wine のインストーラを Wine の公式ホームページのダウンロードページからダウンロードします。 安定版の「Wine Stable」をダウンロードしましょう。 (「Wine Development」などは開発中の新しいバージョンですが、開発中のものなので動作が安定しない場合があります)
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インストーラを起動すると、次のように「ようこそ」と書かれた画面が表示されます。「続ける」ボタンをクリックして、次の画面に進みます。
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次にインストールする種類を選択する画面が表示されます。 デフォルトでは64bit版アプリケーションを動作させるオプションにチェックがついていません。 より多くのアプリケーションを動作させるためにも「64 bit support」にチェックをつけて、「続ける」ボタンをクリックして、次の画面に進みます。
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インストール先を変更できる画面が表示されます。 ここは特別な理由が無い限り変更する必要は無いでしょう。「インストール」ボタンをクリックして、インストールを開始しましょう。
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インストールが開始されます、しばらく時間がかかります。
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次のような画面が表示されればインストールは完了です。「閉じる」ボタンをクリックしてインストーラを終了させます。
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Windowsアプリケーションを起動しよう
Wine のインストールが完了すると、次の図のように .exe ファイルが Wine に関連付けられ、Wine で起動できるようになります。
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exe ファイルを Wine Stable.app で開いてみましょう。 初回起動の際には、次のように動作に必要となる追加ソフトウェアのダウンロードを促される場合があります。 動作させるには必要ですので「インストール」ボタンをクリックしてインストールしましょう。
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今回は例として筆者が長年愛用している「ID Manager」というパスワード管理ソフトを起動してみました。 次のように見事、Windows アプリケーションを起動することができました。
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おわりに
本稿では macOS 上で Windows アプリケーションを動かせる Wine を紹介しました。 全ての Windows アプリケーションを動かすことはできないかもしれませんが、ぜひ利用してみてはどうでしょうか?